秋の夜空を眺めて

十勝は秋晴れが続き、毎晩、星がきれいに見られます。

その中で、北極星の存在は価値が違います。

 

『論語』には、この北極星がモチーフになっている章句があります。

  

  政をなすに徳をもってす。   (まつりごとを なすに とくをもってす)

  譬えば北辰のその所にいて、  (たとえば ほくしんの そのところにいて)

  衆星のこれに共かうがごとし。 (しゅうせいの これにむかうがごとし)

 

    《訳》 政治を行うには徳をもとにする。

        たとえば、北極星が天の中心にいて、

        すべての星がこれを取り巻きながら回っているようなものだ。

 

この章句は、

「北極星を中心に無数の星が回るように、

 政治のみならず、すべての組織にあっては、そのトップたる人間が部下たちの支柱となることだ。

 それには、トップの人間の豊かな『徳』によって、部下たちから信頼されていなければならない。

  だから、トップには、部下たちを包み込んでいくほどの人間的な魅力を磨いていくことが大切なんだ」

ということを伝えてくれていると思います。

 

徳川家康公がまつられている日光東照宮は、江戸から北極星をみたときの線上に位置しています。

家康公の遺訓「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し」は、

『論語』の「士は以て弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し」(泰伯篇)をもとに詠まれていると言われています。

家康公は、この北極星の章句から、将軍としてのあり方を学んでいたのかもしれません。

 

夜空の星を眺めながら、「北極星」「 日光東照宮」「徳川家康」と連想していた一夜でした。