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1年前は、まだ校長だった

北海道にも春の到来が近いことを感じる、今日この頃。1年前の今頃は、校長として最後の卒業式を終え、残り少なくなった教職生活を感慨深く思いながら過ごしていました。

 

最後の1年間は、校長として特に悔いなく終えたいと思い、「生徒たちのために」、そして「先生方のために」何ができるのだろうと、校長室で考えることが少なくありませんでした。

 

教育は、人を育てることが目的なのは誰もが分かっていることです。ただ、学校は、知識を与え、学力を高めることに偏重しているように思えます。もちろん、知識も必要ですし、学力も大事なことではあります。でも、それだけではないと思っています。

 

安岡正篤さんは、「これがなかったら、人でなくなるというものが、人にとって一番大事だ」という旨のことを述べています。そうすると、知識が少しくらいなくても、学力が多少低くても、それで人間でなくなるわけではありません。

だから、校長として、人として本当に大事なことを教育の中心に据えたことをしたいと考えました。

 

そこで、まず、最も大切にしたいと思ったことの1つが、「ありがとう」という言葉。

人として生きていくうえで、「感謝」はとても大事だと思ったからです。「ありがとう」と言いながら、多くの人やもの、さまざまなできごとに生かされているということに感謝できる心。「ありがとう」と言われて、世のため人のために役に立つことに喜びを感じる心。生徒たちには、「ありがとうと言える人」「ありがとうと言われる人」になることで、心が豊かに育ち、幸せを感じられる人生を歩むことにつながると考えました。

 

 勉強も大事です。他にも大事なことはたくさんありますが、いまの時代に大事にしたいことは、「人としてのあり方」「人としての生き方」だと思っています。

それで、生徒たちや先生方と一緒に、学校のスローガンを「日本で一番『ありがとう』があふれる学校」を目指すことに決めたのです。

 

まず、年度始めの1回目の職員会議で、先生方にパワーポイントを使いながら、目指す学校像を話しました。そして、私の思いや考えを「校長室通信 大局観」にまとめて、先生方に配りました。

 

また、生徒たちには、コロナ禍のため集会等で話をすることができなかったので、「校長室通信 凡事徹底」を使って、「『ありがとう』を言える人、言われる人になることが、人生にとって大事なことだと考えている」、「そのために、この学校を『日本で一番〘ありがとう〙があふれる学校』にしていきましょう」と呼びかけました。 ※写真が、その通信です。

 

そして、「ありがとう」が増えるような取り組みを重ねていきました。

そのような校長時代が、つい1年前だったことを思い出させてくれる、今年の春です。